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バイク購入までの軌跡5

僕が初めてのバイクを買った時の浮き沈みするお話。全7回です。こちらのページ下部で一覧を用意しています。

はじめてのミッション

納車の日、早速またがって帰る・・・というわけには行きませんでした。スクーターには乗ったことがありますが、ミッション付きは初です。当時つるんでいた友人らの中にはミッションに乗っている人はいなかったので、事前に練習ができなかったんです。

というわけで、走り屋の友人にNS-1にまたがってもらい、僕は彼のスクーターで、さらに友人Mも加わり、三人で「練習場」と勝手に決めた交通量の少ない道路に移動しました。

ミッションの要領は教習所でやる通りなのですが、何にもわかっていないので飲み込みに時間がかかり、結構苦労したんですよ。エンストの繰り返しで自信がなかなかつかないですしね。要はテクニックの上達の裏づけと自信さえ付けばドンドン運転できるようになるんですけど、エンストばかりではなかなかどうして・・・というところです。

結局その日は家まで乗って帰る自信がなかったので、途中まで友達に乗ってもらって駐輪場付近で交代。少しの距離だけ走って停めるという貧弱極まりない状態でした(笑)

んでもって翌日。「これじゃイカン」と思い、学校から帰ってきた後に駐輪場へ。早速エンジンをかけようとすると、これがまた「かかり」が異常にわるいんですよ。納車したばっかりやのにどういうことやねんという感じです。

僕が買ったNS-1は初期型('91)で買ったのが97年ですから6年落ち。・・・いや、そもそも納車前の整備で気づくはずですが、まさか整備すらしていないのでは?と疑ってしまいます。(プラグが真っ黒でしたので、そうかもしれません。)

さて、エンジンがかかったところで問題の行き先ですが、あまり遠くに行く自信はまだありません。というわけで、近所のツタヤまでNS-1を走らせました。

まぁ・・・・決して順調とはいえませんでしたが、「なり」に走っている状態です。不安はぬぐいきれませんが、「まぁそのうち慣れるんだろう」と思って、帰宅途中に自宅付近の道で車が信号待ちで停まっていたので、それにあわせてバイクを停車させました。

・・・そして、お約束のようにエンスト。信号待ちのエンストは焦るんですよね。「うわー」と思って、路肩にバイクを寄せてとりあえず退避。その時推測した原因は、

「またかかりが悪くなったのか。」

です。まぁ、起こらなくもない事象です。そういうモンだと思い込んでいた僕は、路肩にて必死でキックを繰り返しましたが、一向にかかりません。「んー・・」と唸りながら、たまたまクラッチを握ってキックすると、なんとかかりました。

「うぉっしゃ!」

と心で叫び、いざ進まんとばかりにギアをつなぐと、

「パボボボボ・・・・」(非常に悲しい音です。)

とエンスト。その後、「クラッチ握ってエンジンかけてエンスト」と10回ぐらい路肩で繰り返し、さすがに心が折れてしまい、本気で泣きそうになりました。「もう・・・いやや・・・。」とと涙を堪えていると、ある重要なことに気がつきました。それは

「あれ?そういえばニュートラルにしていないな。」

です。つまり、先ほどはクラッチを握ってフットブレーキだけで停車したので、ギアが上がりっぱなし。そのまま発車しようとしたのでもちろんエンストしますし、クラッチ切っていないともちろんエンストしますし、エンジンかかってもギア落とさないとエンストしますし・・・、と全てがそこでクリアとなりました。

ここでミッションの仕組みが体感でき、実はミッションの知識が定着したのがこの体験からです。必死で悩んで答えを出すとと人間成長するもんだなと思いました。そこからは自信がついてスイスイ走れるようになり、友達に乗って帰ってもらうということはなくなりました(笑)

はじめてのツーリング

ツーリングと言っても、レポートに書いているような遠距離ではなく、ちょっとした遠出のレベルではありますが、電車以外で地元から離れるのは初。右も左も・・・というわけではないのですが、友人に「ちょっと遠くまで走りに行こうや」と言われ、放課後にバイク駐輪場に集合。そしてエンジンをかけていざGO。

・・・のはずでしたが、お約束と言わんばかりにエンジンがかからず、友人からは「またか。そのバイクアカンのとちゃうん」と言われる始末。もはやアカンのはわかってますが、メンテするスキルもお金もありませんし、お店にクレーム・・・というのは当時の性格上できません。(へタレにつき)

結局10分粘ってもエンジンがかからず、途方にくれていたところに友人らから、「押しがけ」しようと提案。まぁ、やってみる価値はあるかと思い、二人がかりでNS-1を押してクラッチをつなぐ・・・という作業を10回以上繰り返し、僕を含む三名は息切れ状態。

「もー・・・なんやねん、このバイクは・・・」

とため息まじりにぼやきながら座り込むと、何とガソリンコックがOFFになっていました。これは誰かのイタズラ・・・というわけではなく、僕が盗難対策の一環で「パクられた時にエンジンがすぐかからんように」という意図でやったものです。(忘れていました)

その後、友人らに深く謝罪し集合から40分後にツーリングがスタートしました。

行く先は特に決めていないのですが、近くの旧国道をひたすら南下しようと決め出発。「外界に出たという感覚」というのは言いすぎかもしれませんが、近くの町なのに、同じ大阪なのにこんなに新鮮に感じるものなのかと感動したことを覚えています。

特に大阪ってゴミゴミした印象があると思うんですけど、実際に住んでる僕からしてもそう思います。ただ、30分ほど南下し続けると自然が広がっていたり、のどかな街並みがあったりなど、意外な発見があるものです。どちらでもいいことかもしれませんが、初遠出の醍醐味はここらにあるんでしょうね。

あと、冬場だったのでホットの缶コーヒーを買うことが多かったのですが、チャンバーに手袋越しに触れると同じ効果が得られるというのを知ったのもこの時でした(笑)

はじめての警察

ミッションにも慣れ、少し遠くに行くことにも慣れ、気分だけはビギナーから抜けきっていた僕。「せっかくバイクを買ったのだから、もっと遠くへ!」と強く思っていたわけです。奈良へは奈良公園の鹿と顔なじみに慣れそうなぐらい何度も走りにいったので、ちょっと物足りない感じでした。

というわけで、無謀にも「和歌山に行こう!」という案が発動し、放課後にいつもの駐輪場に集まる我々。この時間から行けば帰ってくるころには間違いなく日が変わっているはずですが、当然のようにそこまで考えが至らず、「まぁ1時間ぐらいで着くやろ」とアホになっていたわけです。

そして出発。そのとき使ったのは奈良経由で南にドドンと下るルートで、その途中で「和歌山無理ちゃうか」と思い出しUターン・・・すればよかったのに、なぜかスピードを60km近く出す先頭のワタクシ。(急いでいます。)

すると後ろの方から

「ウ~~~~~~。ウ~~~~~~。」

とテレビ(警察24時)で聞きなれた音が聞こえてきて、「おっ!警察かな。」と警察と併走したことがないので妙にワクワク。ただ、このワクワクというのは大きな間違いで、その証拠に

「そこのバイク、そこのバイク三台、停まりなさい。」

とSTOP命令。走行中ですが絶句です。言われるがままに路肩にバイクを停め、慣れないことなのでもう心臓はドキドキバクバク。まぁ、違反切符切られるだけなんですけど、むちゃくちゃビビってました。ここで意気消沈したのは言うまでもありません。

さらに、今回のツーリングをする前に何度か立ちゴケしており、その時に外れてしまったカウルがあってですね、パテなどで我ながらうまく修繕できていた・・・はずなのですが、それが「今じゃなくてもエエやないか」というタイミングで、走行中に外れ落ちたのです。

もう踏んだり蹴ったりです。よく言えば和歌山行きを防げたわけですが、カウルは外れるわ罰金払わなアカンわ、空気は重たくなるわ、で最悪の一日でした(笑)

そんな山あり谷ありのバイクライフですが、「終焉」のテロップが間もなく流れようとしていたのでした。

次は購入記その6「やっぱり噛み合ってなかった歯車たち」です。

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